最期のブロク(2/4)

まだ人はまばらにいましたが、橋の近くまで行くと誰もいませんでした。
初めて来た場所だったので、まずは橋の反対側まで歩いてみました。


橋の途中で一人の男性とすれ違いました。
この橋は自殺で有名な場所なので、もしかしたらと思いましたが、
振り返らずに通り過ぎました。


橋を渡りきって気になったのが、その男性と時々通る車でした。
そのままもう少し歩いてみましたが、山の中なので誰もおらず、何もありませんでした。
引き返し、橋に向かって歩きました。


ここは心霊スポットとしても有名な場所であり、その時はすでに日が落ちて、
あたりは真っ暗でしたが、恐怖心は感じませんでした。


橋に戻ってくると、男性の姿は無く、車も通っていませんでした。
手袋をはめて、フェンスをよじ登り、鉄格子を乗り越えました。
躊躇はなかったです。


その先の記憶は断片的にしか覚えていないです。
何度か気を失っていたと思います。


最初に気が付いたのが、水面に顔を出した時でした。
ここが何処なのか、なぜ水の中にいるのか、全く分かりませんでした。


ただ、息が苦しくて、水面でひたすらもがきました。
まわりを見渡すと近くに陸地が見えず、どこに向かって泳げばいいのか分かりませんでした。
何度も水の中に引き込まれそうになりながら、やみくもに背泳ぎの体勢でもがき続けた。


どれくらい泳いでいたか分かりません。
何度も気を失って、ほぼ記憶が無いです。


ただ、夢をみた時のようなイメージで、フラフラになりながら陸地に着き、
歩くこともできずに、へたりこんだ記憶だけが残っています。
それすらも現実だったのか夢だったのか、今でも分かりません。


その後、記憶が朦朧としながらも、携帯電話をかけていました。
どこに持っていたのか、どこへ電話をかけたのか、全く覚えていないです。


まるで自分の意識とは別の、自分の中の「何か」が自分を動かしているようでした。
電話の内容も、まばらにしか覚えていませんが、覚えているのが
 「お願いします。助けて下さい。」
と叫んでいる事でした。


電話の相手は女性の声で、
 「助けてあげるから、どこにいるのか、何があったのか教えて。」
と言っていた。


でも、自分の中の「何か」は、
 「ここがどこか分かりません。何があったのか分かりません。」
と叫んでいました。


電話は何度も途中で切れました。
その度に「何か」がかけ直し、
 「助けて下さい。」
と叫んでいました。

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